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1988年8月8日

ブッシュ氏の相棒



  民主党に遅れること四週間。共和党の副大統領候補選びが本格化してきた。
  ニューオリンズで十五日から開かれる共和党全国大会で、同党の大統領候補に選出されることが確実なブッシュ氏は先ごろ、<ワシントン・ポスト>紙のインタビューに応じ、副大統領候補として選考対象となっている数人について、過去の交友関係、家族、経歴、財政状況などの調査を開始したことを明らかにした。


ジョージ・ブッシュ氏
(From:http://mt.sopris.net/mpc/military/turbulence.html)

  下馬評では、中西部の農業地帯で強いドール上院院内総務(カンザス州)、党内最保守派の一人とされているケンプ下院議員(ニューヨーク州)の二人が副大統領候補として最有力視されているが、ブッシュ氏の頭の中では、まずは、経歴にキズがないことが最初の条件、ということらしい。
  第一陣として何らかの調査を受けたのはケンプ下院議員、スヌヌ・ニューハンプシャー州知事ら三人。いずれ、ドール上院院内総務、その夫人で前運輸長官のエリザベス・ドール氏、デュークメジアン・カリフォルニア州知事らも対象となると見られている。
  
  一日づけ<USAトゥデイ>紙は、共和党代議員二二七七人中の八一%、一八五二人を対象に行ったアンケート調査の結果を公表し、同党代議員の二一%がドール氏、一六%がケンプ氏を<好ましい副大統領候補>と考えている、と報じた。


ボブ・ドール氏
(From:http://www.huntingtonchamber.org/chamberevents/doledinner.html)


ジャック・ケンプ氏
(From:http://conservativechronicle.com/columnists/kemp.htm)

  オハイオ州の代議員が、ブッシュ氏には「中西部の票が必要だ」と、同地方で人気が高いドール氏支持の理由を説明している一方で、ケンプ氏にはやはり、保守派の支持が集まっている、ということだ。
  この二人につづく三番手には七・三%のエリザベス・ドール氏とハワード・ベイカー大統領主席補佐官、五番手には前国連大使ジーン・カークパトリック氏の名が挙がっていた。


エリザベス・ドール氏
(From:http://www.fb.com/annual/amnews/nr/nr0201.html)

  ただし、代議員のうちの二〇%はまだ副大統領候補にはだれがふさわしいかを決めておらず、それは「最終的にはブッシュ氏が決めること」(サウス・カロライナ州の代議員)という態度だという。

  そのブッシュ氏は、党の全国大会までは、意中の人物を明らかにしない考えで、少なくとも十二人ほどが選考の対象になったことを示唆したにとどまっている。
  民主党のデュカキス候補が全米の大統領選挙人の配分状態を考慮し、南西部票獲得のために、世論調査では五番手に位置づけられていたベンツェン上院財政委員長(テキサス州)を副大統領候補として指名した先例にあるように、ブッシュ氏が<USAトゥデイ>紙の調査結果で最上位となった人物を選択するとは限らない。人気の盛り上がりと話題性に欠けるブッシュ氏にとっては、副大統領候補の指名は、国民の注目を集めるための、残された最後の手段であり、“意外な選択”が行われる余地もまだ十分にある。
  デュカキス候補同様に、大統領選挙人の人数獲得に最も重きを置くのなら、全米最大の選挙人数を持つカリフォルニアで安定した支持を得ているデュークメジアン同州知事を指名して、ブッシュ氏が起死回生の勝負に出る可能性も残されている。
  一方、デュカキス氏に比べると女性からの支持が圧倒的に不足している点に留意すれば、ブッシュ氏の“相棒”としてエリザベス・ドール氏が急浮上することも考えられる。

  共和党は特に、ニカラグアの内戦問題で、反政府ゲリラ組織<コントラ>への軍事援助に反対するデュカキス氏と、ここまで常に賛成しつづけてきたベンツェン氏との“分裂”を突きながら、自党の副大統領候補を決定することになる。ブッシュ氏の“相棒”は、クリーンなだけではなく、共和党の劣勢を逆転させるだけの強力な個性のも持ち合わせていなくてはならないわけだが、さて、それはいったいだれか…。
  
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