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1988年9月12日

大統領選挙の見所



  大統領選挙はレイバー・デイの五日、公式に選挙戦入りした。

  十一月八日の投票日に共和党のジョージ・ブッシュ候補、民主党のマイケル・デュカキス候補が奪い合う<大統領選挙人>の数は全米で五三八人。過半数の二七〇人を獲得した方が勝ちとなる。
  大統領選挙人の数は、ほぼ人口に比例して各州で決まっており、一般有権者の投票で一票でも多かった方の党が、その州に割り当てられている大統領選挙人をすべて独占する。

  <USAトゥデイ>紙によると、選挙の勝敗をの行方を占うことになる州は次の七州だ。()内は大統領選挙人の数。
  カリフォルニア(四七):選挙全体の雌雄を決する最重要州。最近の世論調査では、ブッシュ氏とデュカキス氏の支持率はほぼ互角。環境問題、特に州沿岸での石油掘削の是非が争点。
  テキサス(二九):ブッシュ氏と民主党の副大統領候補ベンツェン氏の本拠地。ブッシュ氏支持が先行しているが、同氏が大敗する可能性もまだ残されている。
  フロリダ(二一):共和党の安定基盤だが、民主党も激しい選挙運動を展開中。麻薬問題が争点。ヒスパニック有権者の票の行方が注目される。
  ニューヨーク(三六):民主党が強い州。これまでの世論調査でもデュカキス氏が優位に立っているが、一九八〇年と八四年には共和党のロナルド・レーガン氏が勝っている。経済問題が最大の争点。
  ペンシルベニア(二五):両者が接戦中。デュカキス氏は鉄鋼、自動車、炭鉱労働者の票が頼り。ブッシュ氏が勝つためには“レーガン・デモクラット”(前の選挙でレーガン氏に投票した民主党支持者)の支持獲得が必要。
  イリノイ(二四):デュカキス氏側が勝てると読んでいる州の一つ。一九六四年には民主党が押さえている。
  インディアナ(一二):クエール共和党副大統領候補の地元。ブッシュ氏がクエール氏をパートナーに選んだのはクエール氏の中西部での集票力に期待したから。

  状況を四大地域に分けて眺めると、大統領選挙人に数は、西部地域が一一一人。そのうちの内陸部八州とアラスカ、ハワイの六四人は共和党の獲得が確実。ワシントン。オレゴン、カリフォルニア州の六四人の行方はまだ流動的。八〇年。八四年は全一一一人をレーガン候補が獲得した。民主党は相当のがんばりがなければ、勝利はむずかしい。経済、環境、防衛、貿易問題で両党の意見がぶつかり合う。
  中西部の一三七人がどう分かれるかはまだ読めない状況。レーガン大統領の農業政策に反対する農民の票の動きしだいで、ブッシュ氏不利の場面も。経済、貿易問題が有権者の関心の的。
  南部は一七七人。ブッシュ氏優位。過去五回の選挙のうち四回は共和党が勝っている。ブッシュ氏はデュカキス氏の防衛・外交政策の弱腰ぶりを突いているが、ベンツェン氏の存在がこの攻撃をかわす役割を果たしている。
  東部は一一三人。民主党支持が強い地域。経済問題が焦点。デュカキス氏がギリシャ移民二世だという事実とマサチューセッツ州知事としての業績が有利に働いているが、ブッシュ氏側はその経済運営の失敗を攻撃中。ニューヨークとニュージャージーの黒人票の行方が問題。

  とはいえ、この選挙の本当の見所が「米国人はこれからどこへ行きたがっているか」を知ることにあるのは明らかだ。二か月後にはそれが判明する。

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