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1988年10月4日

日本の特殊性 <2>



  <ロサンジェルス・タイムズ>(八月二日・サム・ジェイムソン記者)の記事の紹介をつづける。
  日本人のユニークさについては、東京医科歯科大学の聴覚器官の専門家、角田忠信教授の理論が極めつけだろう。
  母音を多く使用するという日本語の特徴のために、日本人の右脳と左脳は、西洋人や他の東洋人とは異なる機能を持つようになっている、というのがその理論だ。同じく母音の多い言語を使用するポリネシア人だけは例外的に異なっていない、という。
  その著書<日本人の脳>の中で角田教授は「同じベートーベンの曲でも日本人は、日本の伝統楽器で演奏されるときは左脳で、中国のものを含め、日本の楽器ではないもので演奏されるときは右脳でこれを聞いている」という。しかも、この説は―学者のあいだではないけれども―産業界の指導者たちに広く受け入れられている。

  実際、ここ数年、日本人と交渉に当たる米国人はよく、日本の土壌はユニークなのだという申し立てに出合ってきた。関西新空港建設への米国企業の参入要求を含む、公共事業市場の開放交渉でも同様だった。
  日本では、雪までがユニークだと信じられていたようだ。ヨーロッパ諸国からの抗議を受けて後に削除されたが、日本が輸入するスキーには世界に類を見ない厳しい安全基準が適用されていた。
  日本が高校野球で使用しているボールは、ゴムを含ませた日本独特のものであり、そのために事故が起こる恐れがあるから、外国性バットの輸入は禁止する、との主張を日本が引っ込めるまでにも長い年月が必要だった。
  外国人に日本語を簡略化して教えるための研究を三年間にわたって行ってきた国立言語研究所は今年初め、その成果をまとめたが、「忙しい外国人ビジネスマンに百五十時間以内に日本語の基礎を教え込もう」というこの研究は、外国人言語学者によれば、外国人にはなかなか学び取れないほど日本語は難しい、という思い込みが動機になっていたという。

  <日本人論>に関する出版物が書店にあふれ、いまや一つのジャンルにまでなっている。このジャンルでの著書もあるライシャワー元駐日米大使は、日本人が自分たちのアイデンティティーを探求しようとするためにこうした出版物があるれることになっている、と見ているが、このジャンルのほとんどすべての本は、やはり、日本人がいかに他の人々と異なっているかという視点から書かれている。

  <朝日新聞>の松山主筆は、日本人は腸が長いとか、違う脳の機能を持っているとかいう説をまともに受け取る者は少ないと指摘し、派手に書きまくる週刊誌や常識外れの本に書かれた常軌を逸した記事は好奇心から読まれるだけで、めったに本気で受け取られることはない、と語っている。
  松山氏によれば、十九世紀の半ばまでつづいた、徳川幕府の鎖国政策と、島国であるという事情のせいで、日本人は“当然”外国人に対して“好奇心”をもって接するようになり、つきあうにしても“予防策”が必要だと感じるようになったのだという。

  社会人類学の中根千枝東京大学名誉教授は日本人のこの特性を、外国人と接する際の“不安”心理と呼び、「連れとなる外国人が日本人には長いあいだなかったこと、そのために、自分たちを写してみる鏡がなかったことが、歴史と地理の面からみた日本の悲劇だ」と述べている。同名誉教授によると、日本人はユニークだという思い込みは“どうせ外国人には日本が分からない”症候群とまでなって、外からの批判をかわす便利な道具になっている、という。


中根千枝東大名誉教授
(From:http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/idenshi/backnumber/data/020615.html)

  (つづく)

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