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1988年12月20日

上得意



  農水省が発表した日本の<食糧自給率>に関する数字(一九八六年)がある。国内生産量を消費量で割ったものだ。

  穀物全体の自給率は三三%となっている。日本人が食べる穀物の三分の二は外国からの輸入品だということだ。コメが一〇七%とあって生産過剰であることを示しているほかは、小麦が一四%、トウモロコシにいたってはゼロだ。
  豆類の外国依存度の高さもよく知られている。わずかに八%が国内物だ。
  傷みやすい野菜はさすがに率が高い。九五%だ。
  日米間で長いあいだ懸案事項となっていた<牛肉・オレンジ>を含む肉類と果物類は、それぞれ七八%、七三%となかなか健闘している。
  牛乳、チーズなどの乳製品は八六%、卵は九七%、魚貝類は九五%だ。
  ついでにみれば、大豆の自給率はゼロだが、製品としての醤油は一〇一%で、完全自給したうえ輸出さえしている。

  全輸入品に占める食料品の割合は、金額で一六・一%、先進国の中では日本が最も高い。米国は七%、イタリアは一四・〇%だ。

  さて、不足している食料を日本は主として米国から輸入している。世界最大の農業国である米国の世界への農業生産物の輸出額は一九八七年には二百八十六億ドル以上。その一九・九%、ほとんど五分の一を日本が購入している。二番目がオランダの六・九%だから、日本がいかに米国の上得意であるかが分かる。

  米国の主要な農産物輸出のうち日本が購入した分を金額ベースでみると(農水省八七年資料)、飼料用穀物の三一・三%、トウモロコシの三一・九%、大豆の一八・三%、葉タバコの二七・六%、とり肉の二五・三%、子牛の肉を含む牛肉の七二・八%、豚肉の七八・三%、オレンジの三五・七%、グレープフルーツの五六・二%、レモンとライムの八五・四%が日本人に消費されていることが分かる。
  米国農業は日本人の胃袋を当てにして成立している、とは言い切れないにしても、一部の農産物生産者がそれを頼りにしていることは疑いようがない。

  日本人のカロリー摂取量は一日二六〇〇キロカロリー(八五年)だ。これに対し米国人は三六五二キロカロリー(八二年)だ。一日一〇〇〇キロカロリーの差は大きいが、これを何から摂取しているかをみても、日米間には大きな差がある。
  米国人が日本人よりもかなり多く食しているものには砂糖(三倍)、果物(一・九倍)、肉類(四・四倍)、牛乳・乳製品(三・二倍)などがある。日本の方が目立って多いのは魚貝類(五倍)だ。コメにいたっては二十九倍もの大差がある。

  日本人は全カロリーのうちの七・八%をコメから取るのに対し、米国人は八・四%を肉類から取っており、それぞれがそれぞれの国の主要カロリー源の一つとなっている。昔から言われているように、いまでも「日本はコメと魚の国、米国は肉の国」であるようだ。
  とはいえ、日本人は牛肉嫌いだというわけではない。今年の夏にスーパーの<ダイエー>が米国産牛肉の特別セールを実施したときには、ステーキ用サーロインが百グラム二百九十八円という安さもあって、当初予定されていた量の三倍が売れたということだ。

  日本人の嗜好も変化していく。産業構造も変化していく。
  その変わり目を突いて、米国が、最大の得意客である日本での市場拡大を狙っている。
  今年は<牛肉・オレンジ>の問題が一応の決着を見た。来年はいよいよ、コメの自由化をめぐる攻防が最後の詰めに入る。

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