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1989年1月4日

貯蓄性向


  家計収入から税金や社会保険料など消費以外に使用された額を差し引いたものを<可処分所得>という。可処分所得の中で消費に当てられた額の比率を<消費性向>と呼ぶ。消費に回らなかった所得は預貯金、有価証券、保険などの金融資産や住宅・土地などへの投資に向けられて、何らかの形で貯蓄されることになる。こうした<貯蓄>の<可処分所得>に対する比率を<貯蓄性向>(貯蓄率)という。

  日本人の貯蓄性向の高さは先進諸国の中でも際立っている。日本銀行が発表した資料によると、日本人の一九八七年の貯蓄性向は八六年の一六・六%からさらに上昇し、一八・三%になっている。同じ八七年、西独は一二・三%、フランスは一二・〇%、米国は六・三%。英国は八六年が四・九%だった。

  日本人の貯蓄性向の高さには二つの面があるといわれる。まずは、社会保障の不備など、将来への不安のために、国民が自己防衛を目的に貯蓄に励まざるを得ないという面。次には、その結果、貯蓄が産業投資に回されることになり、産業の活性化を生み出し、大きな経済的発展を日本にもたらしたという面だ。

  <ウォールストリート・ジャーナル>紙に「米国民の貯蓄率の低下を経営や労働、教育などの分野の指導者が心配している」という記事があった。
  同紙によると―。
  レーガン大統領は就任した一九八一年、大幅な減税を実施する目的の一つとして「貯蓄率の向上」を挙げた。減税断行によって貯蓄率は上がると財務省も予想していた。
  だが、米国民の貯蓄性向は八一年の七・五%から、最近は三・二%まで下がっている。これは四七年以来の低い数字だ。
  貯蓄性向の低下は八〇年代、連邦予算が拡大するにつれて進行してきた。国内貯蓄の不足が明らかになった。個人貯蓄、企業貯蓄、政府の黒字(または赤字)額を合計した<国民総貯蓄>の国民総生産(GNP)に対する比率は、六〇年代の七・九%、七〇年代の七・一%から、八〇年代は三%にまで落ちた。八六年、八七年にはこの比率は二%を下回る状態にまでなっている。二%という数字は先進工業諸国の五分の一、日本の八分の一という低さを示している。
  国民総貯蓄の大小が工場の新設や設備改善への投資額を決定する。総貯蓄が減少したために米国では、六〇年代には七・二%だった対GNP<実質投資率>も四・八%にまで下がってしまっている。諸外国が高い投資率を維持して生産性を上げ、生活水準を向上させているあいだに、米国民だけは向上速度を鈍化させてきたのだった。
  しかも、米国の投資率四・八%のうちの一・八ポイント(約三七%)は外国からの投資だった。
  投資率を押し下げる原因となった<国民総貯蓄の減少>をもたらしたのは財政赤字の増大だ。赤字が個人や企業の貯蓄を相殺してきたのだった。
  加えて、その、頼みの個人貯蓄性向の方もまた低下している。米国経済の将来に対する各界指導者の危機感は深まる一方だ。
  高齢者への社会保障も改善されてきた。医療保障も充実してきた。八〇年代の、借金財政がもたらしたうわべの経済活況により、米国民はますます将来の“まさか”に備える気持ちを薄くしている。

  米国民の生活水準の向上を継続させるための解決策ははっきりしているようだ。―財政赤字の縮小(解消)だ。
  迫り来る米国経済の危機を避けるためには、大きな難題だが、それをやりぬくしかないと見える。

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