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1989年1月30日

マスコミ注目度


  政権の座について今年で十年目を迎えるサッチャー英国首相の総合的経済政策を<サッチャリズム>と呼ぶ。財政引き締め、政府規制の緩和、労働組合活動の制限、国営企業の民営化、持ち家・持ち株の奨励などを強力に推進するサッチャリズムの下で、英国経済は経済成長率を上昇させながらインフレを克服し、平均賃金を引き上げて、いわゆる“英国病”を治癒したといわれる。


マーガレット・サッチャー氏
(From:http://www-hoover.stanford.edu/pubaffairs/ar2000/thatcher.html)

  英国企業による米企業買収が昨年、三百九十八件=三百二十五億ドルにも達したのは、サッチャリズムの下で経済強化を実現して自信をつけた英国人が攻勢に出る気になり、海外での利益追求にもにも情熱を燃やしたからだ、と<英米取引レビュー>誌のマーク・ディクソン記者は指摘している。
  英国のこの買収件数と買収金額は実際、他の国々をはるかにしのぐものだった。同じ年、全米の新聞紙上を何度もはでな見出しで飾り、大いに目立った日本企業による米企業の買収でさえ、その件数は百三十、金額も百二十七億ドルにとどまっており、それぞれ英国の半分にさえ及んでいなかった。

  「皆が日本のことばかり口にしたが、実は、英国の方が日本の三倍もの金額を投じていたし、自国の経済力との比較でいえば、英国は日本の十五倍もの買収を行ったことになる」とディクソン氏は分析している。米企業買収に英国は、国内総生産の四・五%に当たる金額を注ぎ込んだのに対し、日本は〇・三%にすぎなかった、というわけだ。

  通信社<UPI>のデニーズ・クーチャー記者は「米国内で強まる日本の経済的圧力、というような記事を読むことに慣れた多くの米国人にとって、この数字は驚きだろう」との感想を述べている。
  ディクソン記者も「問題に触れた新聞記事の量から判断すれば、日本による米企業買収金額は英国の十倍から二十倍になるとみられてもおかしくはなかった」と言っている。

  二十三日づけ<ロサンジェルス・ヘラルド・イグザミナー>紙のマネー欄ではアレロ・シダーバーグ氏が次のようなクイズを紹介していた。@対米投資が最大の外国は? ヒント:第二次大戦で激しい空襲を受けた島国 A米国不動産を最も多く所有している外国は? ヒント:貿易摩擦があった国 B世界最大の対外投資国は? ヒント:その国民は横柄でカネに対する執着が強い。
  答えは@が英国、Aがカナダ、Bが米国自身だ。日本はそのいずれでもなかった。

  では、対米投資で日本が英国の「十倍から二十倍」も目立ったのはなぜか。
  ディクソン記者もクーチャー記者もその“なぜか”については触れていない。
  シダーバーグ氏は、ロサンジェルスが“東京の二十四番目の区”と呼ばれたり、ハワイが“日本のカントリークラブ”並に扱われ“四十八番目の県”とみなされているかのような現状を「“パックス・ニポニカ”時代が到来した」と述べている。

  たしかに、日本資本の投資先が米国内の一部の地域に、しかもここ数年という短期間に集中したことも、米国民とマスコミの注目度を高めた原因の一つだろう。だが、それだけでは“なぜか”は十分には説明されていない。
  サッチャリズムの下での、英国による大規模な米企業買収よりも、日本による買収の方が“なぜ”はるかに目立ってしまったのかについて、ブッシュ新大統領から、その政治スローガンどおりに“優しく思いやりのある”回答を聞いてみたいところだ。

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