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1989年3月30日

混乱 対日政策


  航空自衛隊の次期支援戦闘機(FSX)の日米共同開発問題が“一応の”決着をみた。
  米軍のF16戦闘爆撃機をFSXのベース機とすることを日本側が決定して以来、日米両国は、開発段階ではF16の高度技術を米側がどこまで日本に提供するか、生産段階では生産分担を日本側がどこまで米国に認めるかについて協議を重ねてきた。
  生産段階の米側分担については、四〇%とすることを米側が強く要求していたが、「開発段階の分担として合意している三五%〜四五%という実績を尊重し、生産段階でも同様の考えで対処する」との表現を合意文書に取り込むことに両国が合意、また、開発段階での焦点となっていたF16の高度技術ソースコードの提供制限問題では @ミサイル発射<火器管制装置>(FCS)に関する部分は米側が提供を制限する Aコンピューターによる翼コントロール・システム<フライ・バイ・ワイヤー>については日本側がFSX以外には転用しないことで話がまとまった。
  日米間の懸案がまた一つ解消された―。

  「米国が対日政策というものを持ったことがあるとはどうしても思えない」と発言した人物がいる。一九七四年から八八年まで対日貿易交渉に当たり、その間七十八回もの日本訪問を経験している米国務省官僚のマイケル・スミス氏だ。
  二十日の『ニューヨーク・タイムズ』が米国政府の対日政策の混乱ぶりを報告していた。

  スミス氏以外にも、米政府の対日政策に不満を訴える人物はいる。同紙によると、例えば、チャールズ・シューマン連邦下院議員(民主・ニューヨーク州)は、日本が経済超大国になったいまでも、米政府には「全体を見渡しながら、日本とともに進み道はこうだという言える人間が操縦席にだれもいない」と指摘しているという。
  混乱の原因は、重要問題に関する省庁間の“縄張り争い”にあるらしい。「各省庁は協調どころか、意思伝達さえ行っていない」と同紙はいう。
  省庁間の話し合いでは、国務省、国防総省、国家安全保障会議が日本の地政学・戦略上の重要性を強調するのに対して、商務省、通商代表部は米国経済の健全さが失われることを憂え、対日強硬姿勢を取ろうとするし、財務省、行政管理予算局、経済諮問委員会は自由貿易主義を信奉して、対日貿易への米政府介入を嫌うといった具合だそうだ。

  二十七日の『朝日新聞』は、FSXの協議過程で生じた日本政府の対米不信について報じていた。「両政府間でいったんまとまった共同開発合意に、米側が国内事情を理由に新たな注文をつけたことについて日本側関係者は不満をつのらせており、これまでのような信頼関係を維持できるのか、と不安視する向きも出てきた」という。特に、FSXの生産段階での米側分担で、これまでは政府間の相互信頼を基に成立していた口頭の約束が米側に疑問視される事態になったことが問題とされている。
  FSX問題で日本政府の対米不信を招いた米国の“国内事情”が省庁間の“縄張り争い”にあったかどうかは『朝日』の記事からは分からないが、例えば、利害関係省庁から次々に出される注文を政府首脳が聞いているうちに、米側の対日不信が増進した、日本のコメ市場開放問題と同じ状況が今回、FSXに関して米側にあった可能性は否定できない。

  確固とした対米、対日政策を打ち出すことができる人物が日米双方にそれぞれ出現しない限り、両国間の相互不信は当分なくなりそうにない。

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