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1989年10月2日

政府支持率


  『ニューヨーク・タイムズ』が先月二十六日、ブッシュ大統領とその政策に関する世論調査の結果を発表した。同紙とCBSニュースが九月十七日から二十日までのあいだに、全米の成人千三百四十七人を対象に、電話インタビューを行って調査したもので、就任八か月目の<大統領の仕事ぶり>の評価では、同大統領は六九%の支持を獲得、同じ時点で五三%だった“人気の”レーガン前大統領を上回るなど、興味深いものとなっている。
  この時点での支持率は、ニクソン氏が六〇%、フォード氏が三九%、カーター氏が五九%だったから、ブッシュ大統領は、レーガン氏を含め、前任者四人すべてをしのぐ支持を集めたことになる。また、この六九%は、レーガン氏が任期中に獲得した最高支持率六八%をも上回るものだ。

  政策に関する質問では、<ブッシュ大統領はソ連と良好な関係を維持する>と考える国民が七九%に達し、<維持できない>の一一%を大きく上回ったほか、<米国の教育を大幅に改善する>とする意見も、一月調査時の六二%からはいくぶん下降したものの、五七%と過半数を保つなど、内外の重要問題についてのブッシュ大統領の政策を国民が好感を持って見ていることが分かった。
  ただ、同大統領の政策が麻薬問題で効果を上げるかどうかについては、五一%が<上げない>と回答しており(<上げる>は四一%)、同大統領にとってはこの問題の解決の方がソ連との関係維持より難しいだろうと米国民が感じていることが明らかになった。

  環境問題では、七月のパリ・アルシュ・サミットで、改善のために努力することで先進諸国間に合意があったにもかかわらず、大統領の政策が著しい効果を<上げる>と考える国民は一月の四九%から三八%に減少、<上げない>は逆に四四%から五四%に増加した。麻薬政策と同様に、同大統領の環境政策はまだ不十分だと国民に思われているようだ。

  ブッシュ大統領が選挙期間中からくり返していた<増税はしない>との公約については、七三%が<四年間の任期中に増税を議会に提案する>と見ていた。また、回答者の五八%は<麻薬対策のためなら年間百ドルの増税に応じる>と回答しており、国内の深刻な問題を解決しようという点では、国民の意識は同大統領よりは現実的であるという一面も見せていた。

  ブッシュ大統領がこれまでに行ったことの中で最も評価が低いのが副大統領の選択だったことも同調査で分かった。クエール副大統領の仕事ぶりについては<まずまず以上だ>としたのはわずかに一三%。一九%が<だめ>と見ていた。また、四五%が<副大統領のことは、意見を述べるほどには知らない>と回答しており、副大統領の人気回復策も同大統領の重要課題となった。

  『朝日新聞』(九月二十九日)によると、ブッシュ大統領は二十七日、ホワイトハウスで一部記者団と会見し、米ソ首脳会談の開催合意での交渉手腕を自画自賛して「つい最近まで私は臆病者と批判された。だが、やるべきことはやっている。いちいち(成果を)宣伝する必要はないだろう」と力を込め、<地味だが確実>なブッシュ外交を印象づけようとしたという。
  ブッシュ大統領に対する評価は、来年夏までに開かれることになっているその首脳会談でまた変わることになる。

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