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1989年12月22日

一九八九年 物故者


  <一月>
  二十一日 サルバトール・ダリ(八四)。スペイン生まれの超現実派の画家。異常な幻覚を緻密な古典的手法で描いた。

  <4月>
  十二日 アビー・ホフマン(五二)。一九六〇年代の活動家。青年国際党(YIP)を創設して“イッピー”運動を展開した。致死量の薬物使用による死。
  十二日 シュガー・レイ・ロビンソン(六七)。ミドル級で五度世界チャンピオンに。通産一七五勝(一一〇KO)一九敗。
  十五日 胡耀邦(七三)。中国共産党総書記。八七年一月、学生の民主運動の責任を問われて辞任した民主化推進派。死後、学生の運動が高揚、六月の天安門広場での武力制圧事件に到った。
  二十六日 ルシール・ボール(七七)。<アイ・ラブ・ルーシー>で知られた“米国で最も愛されたテレビコメディアン”。

  <六月>
  三日 アヤトラ・ホメイニ(八六)。イランの精神的、政治的最高指導者。七九年、イスラム革命でパーレビ王政を打倒、イスラム共和国を建国。反米・反イラク強硬政策を貫いた。

  <七月>
  二日 アンドレイ・グロムイコ(七九)。五七年のスターリン時代から八五年まで継続してソ連の外相を務めたあと、八八年十月まで最高会議幹部会議長。
  六日 ヤーノシュ・カダル(七七)。五六年の<ハンガリー動乱>後の首相。経済改革を推進、同国に東欧一、二の生活水準をもたらした。
  十一日 ローレンス・オリビエ(八二)。英国の舞台・映画俳優。功績が認められて<サー>、後に<ロード>の称号を受けた。四八年に<ハムレット>でアカデミー主演男優賞受賞。

  <八月>
  二十日 ジョージ・アダムス(八三)。映画<野性のエルザ>の原作者。自然保護主義者。ケニヤで強盗に射殺された。
  二十二日 ヒューイ・ニュートン(四七)。黒人過激組織<ブラック・パンサー>の共同創設者。射殺された。

  <九月>
  二十八日 フェルディナンド・マルコス(七二)。前フィリピン大統領。アキノ現大統領を支持する<ピープルズ・パワー>に押されて八六年二月にハワイに亡命していた。

  <十月>
  六日 ベット・デイビス(八一)。演技派女優。三五年に<青春の抗議>、三八年に<黒蘭の女>でアカデミー主演女優賞受賞。五一年には<イブの総て>でカンヌ映画祭主演女優賞。

  <十一月>
  五日 ウラジミール・ホロビッツ(八五)。二十世紀後半最高のピアニスト。ロシアのキエフ生まれ。
  二十二日 レネ・ムアワド レバノン大統領。就任十七日目に西ベールートで爆弾テロを受けて死亡。

  <十二月>
  十四日 アンドレイ・サハロフ(六八)。ソ連の核物理学者。七五年度ノーベル平和賞受賞者。八〇年に反国家活動の罪でゴリキー市に国内流刑された。流刑解除後、八九年五月、人民代議員に選ばれた。

  一九八九年。世界で数々の事件があり、多くの著名人が他界した。
  何度も危篤・死亡説が飛び交った末に、隠然とした権力を保持したまま六月三日に没したイランのホメイニ師の死は今後の中東、世界の情勢に影響を与えそうだ、という点で特に記憶されるべきかもしれない。
  また、結果としては政府に制圧されてしまったとはいえ、中国の民主化運動の引き金となった胡耀邦氏の死も<今年度最大の死>の一つだろう。

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